診断方法
本症の左室心筋は、心外膜側の薄い緻密化層と、心内膜側の厚い肉柱の網状構造(緻密化障害層)の2層からなる。
確定診断は肉眼所見、画像診断。組織所見で、拡張型心筋症と心内膜線維弾性症を除外する必要がある。
症 状
乳児期では高度の心不全症状を認める。
成人では軽症のことがある。
血栓塞栓や不整脈を合併することがある。
胸部X線
胸部X線で心拡大を認める。非特異的である。
心電図
左室肥大を認めることもあるが、非特異的である。
心臓超音波検査
緻密化障害層(NC)とより薄い緻密化層(C)を認める。
下記の診断基準3がover diagnosisが少なく、最近汎用されている。
診断基準1 収縮期に NCの厚さがCの厚さの2倍(成人)ないし1.4倍(小児)以上。
診断基準2 拡張期に Cの厚さ/(NCの厚さ+Cの厚さ)が0.5未満。
診断基準3 拡張期に NCの厚さがCの厚さの2倍 以上。
上記の診断基準に加え、カラードプラで、血流が左室内面の粗い肉柱とその間の深い陥凹に入ること。
MRI所見
拡張期に Cの厚さ: (NCの厚さ+Cの厚さ)が 1 : 2.3 以上。
心臓カテーテル、心筋生検
心室収縮能は低下し、心室は拡張する。心筋生検では特異所見を認めないことが多い。左室造影で、粗い肉柱と、その間の深い陥凹を認める。
遺伝子異常
細胞骨格や筋原線維を構成するタンパク質の遺伝子変異で本症が発生することがある。
診断基準
心臓超音波またはMRIの診断基準を用いる。
当該事業における対象基準
治療中又は次の①から⑨のいずれかが認められる場合
①肺高血圧症(収縮期血圧40mmHg以上)
②肺動脈狭窄症(右室-肺動脈圧較差20mmHg以上)
③2度以上の房室弁逆流
④2度以上の半月弁逆流
⑤圧較差20mmHg以上の大動脈狭窄
⑥心室性期外収縮、上室性頻拍、心室性頻拍、心房粗細動又は高度房室ブロック
⑦左室駆出率あるいは体心室駆出率0.6以下
⑧心胸郭比 60%以上
⑨圧較差20mmHg以上の大動脈再狭窄
- 版
- :バージョン1.1
- 更新日
- :2015年8月3日
- 文責
- :日本小児循環器学会