診断方法
臨床診断
定義に示された臨床的、病態的特徴を証明することにより行われる。しかし、実際にはすべてを確認することができないことが多いため、遺伝素因、アトピー素因、臨床症状・所見、呼吸機能検査などを参考に総合的に判断する。類似症状を示す気道系、心血管系の疾患を除外する必要がある。
症候学的診断
- 発作性に起こる気道狭窄によって、喘鳴や咳嗽、および呼気延長を伴う呼吸困難を繰り返す。
- 症状が、運動や呼吸器感染症、ハウスダストなどのアレルゲンの吸入、気候の変動により反復する。
- アレルギー疾患の既往歴、家族歴を有する。
参考にする検査所見
- 呼吸機能検査(スパイロメトリーとフローボリューム曲線)により気流制限を確認する。
- β2刺激薬吸入前後の気道可逆性試験で、可逆性を確認する。
- 気道過敏性検査:直接法(アセチルコリン、メサコリンなど平滑筋に直接作用する薬物を用いる方法)、間接法(運動負荷などで間接的に気道平滑筋収縮を誘発する手法)により閾値を測定する。症候学的には、気道過敏性の存在を示唆するような症状、すなわち、運動や冷気、タバコなどの刺激により、容易に咳嗽や喘鳴を起こすかを確認する。
- 血液検査や皮膚テストなどのアレルギー検査により、アレルギーの存在を確認する。
- 気道炎症を簡便に評価する方法である呼気中一酸化窒素を測定する。
- ピークフローメーターを利用して、呼吸機能のモニタリング、すなわち日内変動、経時変化などを評価する。
- 動脈血ガス分析パラメーターとSpO2(パルスオキシメーター表示酸素飽和度)により、急性発作の発作強度や治療効果を評価する。
当該事業における対象基準
次のいずれかに該当する場合
- ①
- この1年以内に大発作が3か月に3回以上あった場合
- ②
- 1年以内に意識障害を伴う大発作があった場合
- ③
- 治療で人工呼吸管理又は挿管を行う場合
- ④
- オマリズマブ等の生物学的製剤の投与を行った場合
- 「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」におけるステップ4の治療でもコントロール不良で発作が持続し、経口ステロイド薬の継続投与が必要な状態であること
- ⑤
- おおむね1か月以上の長期入院療法を行う場合
- 当該長期入院療法を小児の気管支喘息の治療管理に精通した常勤の小児科医の指導下で行われていること
- 当該長期入院療法を行う医療機関に院内学級、養護学校等が併設されていること
- 医療意見書と共に次の二つのデータがあること
- 非発作時のフローボリュームカーブ
- 直近1か月の吸入ステロイドの1日使用量
- 版
- :バージョン1.0
- 更新日
- :2014年10月6日
- 文責
- :日本小児アレルギー学会