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骨硬化性疾患

のうかいこつしょう

Pycnodysostosis

告示

番号:4

疾病名:骨硬化性疾患

概念・定義

カテプシンK(CTSK)の遺伝子異常により発症し、全身性、びまん性の骨硬化を呈する常染色体劣性遺伝疾患である。

病因

破骨細胞から分泌される基質蛋白分解酵素であるカテプシンKの遺伝子異常による骨吸収障害

疫学

1990年~2015年における日本整形外科学会・骨系統疾患全国登録によると、33例が報告されている。

臨床症状

四肢短縮型低身長を呈するが、成人の最終身長は130~150cmと低身長の程度は強い。前頭部は突出し、大泉門は大きく開大する。顔面は低形成で、眼球はやや突出し、鼻は鳥の嘴様である。歯列や歯牙の形成異常があり、齲歯になりやすく、下顎骨の骨髄炎を合併することもある。手指、足趾は短縮し、爪は低形成である。易骨折性があるが骨折の治癒は遷延化し、偽関節となることもある。

検査所見

X線所見としては、全身性、びまん性の骨硬化像が特徴的である。骨硬化像は頭蓋底で目立つ。泉門は大きく開大し、Worm骨を認める。脊椎後弓の癒合不全のため、しばしば脊椎分離症を認める。末節骨の骨融解(acro-osteolysis)、鎖骨遠位の低形成などはこの疾患に特徴的である。

診断の際の留意点

大理石骨病など他の骨硬化性疾患との鑑別が必要となるが、低身長や末節骨の骨融解などが本症に特徴的である。

治療

根本的な治療法はなく、骨折や骨髄炎などの合併症に対する対応が必要となる。骨折治癒は遷延し、骨が短く骨硬化が著明なため、手術による固定材の刺入は極めて困難である。また、齲歯や歯髄炎、下顎骨骨髄炎なども難治性であるため、口腔内感染の予防に努める。

合併症

・骨折・遷延治癒・偽関節 ・齲歯・歯髄炎・歯列不整など ・下顎骨骨髄炎

予後

骨硬化性病変は改善することなく、生涯にわたり永続する。一般に生命予後は良好であるが、骨折、骨髄炎などの治療は抵抗性で、長期にわたる日常生活動作の低下を招く。

成人期以降の注意点

成人期以降の骨折治療はさらに難渋し、偽関節に至ることもある。骨髄炎も遷延化しやすく、これらにより日常生活動作は徐々に低下する。高齢者では、下肢長管骨の骨折や偽関節による長期間の不動が全身性の廃用性萎縮をきたし、間接的に死期を早める可能性もある。

参考文献

  • 1. 西村玄. 骨系統疾患X線アトラス(医学書院)第4章 硬化性骨異形成症 149-176, 1993
  • 2. 中瀬尚長. 濃化異骨症. 骨系統疾患マニュアル(南江堂)日本整形外科学会小児整形外科委員会編集 94-95, 2007
:バージョン1.0
更新日
:2018年1月31日